多くのコンポにはスピーカーケーブルが付属しており、それを必ず使用しなければならないとの勘違いをしている方も少なくないでしょう。しかし、オーディオの世界では、スピーカーケーブルの選択は非常に自由です。
実際、一部のオーディオマニアの中には、パソコンのUSBケーブルや電源ケーブルをスピーカーケーブルとして利用する者もいます。ケーブルの選択による音の変化を楽しむことは、オーディオの醍醐味の一つです。しかし、高価なケーブルを選ぶだけで音質が一流になるわけではありません。
本記事では、オーディオ初心者のためのケーブルの選び方、ケーブルのゲージ(太さ)による音質の変動、そしてコスパ最強のスピーカーケーブル3選をご紹介いたします。
スピーカーケーブルの選び方
オーディオ機器では音の周波数を電気信号に変換して伝送します。この際、ケーブルの特性が音質に直接的な影響を及ぼします。
ケーブル選びの際は、材質、長さ、太さの3つのポイントに注意を払いましょう。
選び方1:材質
10万円以下のオーディオ機器で考えるなら、ケーブルの材質として無酸素銅(OFC)が一般的です。
ケーブルに使われる金属は銅以外にも銀や合金など多種多様ですが、銅のケーブルでも十分な音質が得られるため、高価な材料にこだわる必要はないでしょう。
詳しいケーブルの材質について知りたい方は、以下のサイトをご参照ください。
オーディオの科学: 物理学の視点からのオーディオの解説です。
選び方2:長さ
ケーブルの長さが増えると抵抗値も上昇し、電気信号の伝送に影響が出る可能性があります。理論的には、短いケーブルが音質の劣化を少なくしますが、10万円以下のオーディオ機器を使用する場合、2m程度の差は音質に大きな違いを生むわけではありません。設置場所やレイアウトに合わせて、50〜100cmの余裕をもった長さを選ぶと良いでしょう。
選び方3:太さ
ケーブルの太さは、特に低音域や高音域の再生に影響を及ぼします。この点については、次節で詳しく取り上げます。
スピーカーケーブルの太さが音質に与える影響
スピーカーケーブルの太さは、同じ素材であっても音質の変化をもたらします。
低音域の質を高めるなら太いケーブル
太いケーブルは低音域の濁りを減少させます。10万円クラスのオーディオ機器には、太いケーブルを推奨します。
例えば、ONKYOは7シリーズと9シリーズでケーブルの太さを変え、音の違いを体感させる戦略を取っています。
9シリーズのような高品質なエンクロージャーを持つスピーカーを使用していても、ケーブルの太さが音質の差を明確にする要因となります。
高音域の質を高めるなら細いケーブル
音は電気の周波数としてケーブルを通り、最終的にスピーカーが音に変換します。一般に、細いケーブルは高周波の再生が美しくなると言われています。
この点についての詳しい理由はまだ明確ではありませんが、高周波伝送のためのLANケーブルが極細であることからも、細いケーブルが有効であることが伺えます。
ただし、すべてのユーザーが細いケーブルで高音域が向上すると感じるわけではありません。
プッシュ式ターミナルのケーブルの太さは14Gまで
一般的なミニコンポでは、ケーブルを挟むプッシュ式のターミナル端子が使用されています。この方式では、物理的にあまり太いケーブルは接続できません。
10万円クラスのオーディオ機器には、16Gのスピーカーケーブルが最適です。もっと太い14Gのケーブルを接続するには工夫が必要ですが、試してみる価値はあります。
コスパ最強のオーディオケーブルメーカー3社
オーディオケーブルにはさまざまなメーカーが存在します。この記事では、Amazonで手ごろに購入できるコスパ最強のオススメ3社を紹介します。
Amazonケーブル: コスパ重視の選択
- 特徴: 非常にリーズナブルな価格で、それに比べて十分な性能を持っています。
- 価格: 16ゲージ15mで約1,500円、30mで約2,000円。
- 素材: CCA(銅とアルミのクラッド鋼素材)。
- 注意点: 被膜が柔らかすぎるため、触感がやや安っぽく感じることがあります。
BELDEN(ベルデン): こだわりのプロ仕様
- 特徴: 業務用としても使用されるアメリカのメーカー。高品質で耐久性があります。
- 価格: 約1m400円。
- おすすめ型番: ベルデン 8470、9497など。
JVCケンウッド: ピンプラグの最良の選択
- 特徴: 純度99.995%以上のOFC(無酸素銅)使用。両端にRCA端子付き。
- 価格: 1mで約600円
- 対抗馬: ベルデンの8770が1mで約3,500円。
1.5m程度の短いケーブルだけ注文したい場合
1.5m程度のケーブルが欲しい方は、Amazonベーシックケーブルでは長すぎるかもしれません。そんな場合は、ベルデン8470がオススメです。
ベルデン(BELDEN) 8470 :3mで約1,500円
スピーカーケーブルの色とつなぎ方を初心者向けに解説
オーディオのセットアップをする際、スピーカーケーブルの接続は非常に大切なステップです。正しく接続されていないと、音の質が悪くなる可能性があります。以下はその基本的なガイドラインです。
基本の接続方法:ケーブルの色を合わせる
- 赤端子 = プラス (+)
- 黒端子 = マイナス (-)
スピーカーの赤端子とアンプの赤端子、スピーカーの黒端子とアンプの黒端子をそれぞれ接続します。
注意: もしケーブルの色を間違えて接続すると、音が逆位相(音がスピーカーの裏から出る)になってしまいます。逆位相にすることも一つの選択肢ですが、左右のスピーカー両方とも逆位相にしないと、音が打ち消し合ってしまいます。基本的には、ケーブルの色を合わせて接続するのがおすすめです。
バイワイヤー接続
もしアンプがバイワイヤーに対応していれば、4つの端子をすべて同じ色で接続します。サウンドの好みにより、ツイーターだけ逆相に接続するなど、様々な接続方法を試すことができます。
しかし、バイワイヤー接続は音が滑らかに聞こえることが多いですが、一部の人はシングルワイヤー接続の方が音のバランスが良いと感じることもあります。
オーディオのセットアップは繊細な作業です。ケーブルの色と接続方法を正しく選ぶことで、最高の音質を得ることができます。
1,000円/m未満でオーディオは充分に楽しめる
オーディオの世界には、驚くべき価格帯のケーブルが存在します。何十万円、さらには100万円を超える高級ケーブルも少なくありません。しかし、その価格と音質の関係は一概には言えません。
一般の音楽愛好者や初心者にとって、コスパを重視したい場合、以下の2点を満たすケーブルを選ぶことで、非常に満足のいく音楽体験が得られると考えます。
- ケーブルの太さ: 適切なケーブルの太さは、音の伝送において重要な要素です。
- オーディオ専用: 一般的なケーブルとは異なり、オーディオ専用のケーブルは、音質を損なわないように設計されています。
特にベルデンの8412は、1,000円程度という手頃な価格ながら、多くのオーディオファンからの高評価を受けています。私自身もこのケーブルを使用しており、その価格以上の価値を感じています。
最終的には、自分の耳で聞き比べ、自分の予算内で最も気に入ったケーブルを選ぶことが大切です。
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