オーディオ用コンデンサは、ドイツ、フランス、台湾など、さまざまな国の製品が出ていいます。しかし、ネットショップを探してみても、どのフィルムコンデンサがオススメかはなかなか紹介されておらず、購入を迷う方も多いでしょう。
今回は、スピーカー内部で使用されるオーディオ用フィルムコンデンサに焦点を当てて、有名メーカー9社を比較しました。実際に聴き比べた個人的な印象をまとめます。
また、以前は個人的なランキングについても発表していましたが、世界的な材料不足や円安の影響もあって、入手困難なコンデンサも出始めたため、現在はランキングの公開を中止しています。
オーディオ用フィルムコンデンサとは
オーディオ用フィルムコンデンサとは、主に高価格帯のスピーカーに使われるオーディオ用のコンデンサです。入門機に使われるコンデンサは1つ数十円程度の電解コンデンサを使うことが多く、音質ではフィルムコンデンサに劣るのが一般的です。そのため、電解コンデンサをフィルムコンデンに取り替えることで音の透明感が増したような別次元の体験を味わうこともできるでしょう。
詳しくはこちらの記事でも解説しています。
聴き比べの方法
今回の聴き比べでは、0.1μF程度のカップリングコンデンサによる簡易的なネットワーク設計で行っています。コンデンサは0.1μF程度でもかなりの音質の変化があり、たとえばオイルコンデンサなどは0.1μF以下の容量がほとんどです。
エレキギターの愛好家もオイルコンデンサの種類にこだわりを見せる方は多く、音色の傾向を十分に把握することができます。クロスオーバーの変化も比較的緩やかであり、既存のネットワークをあまり崩さないのもメリットです。
コンデンサごとにエージングは必要であるため、60分程度の慣らし時間を設けたあとで聞き比べています。なかには60分程度でエージング時間では、性能を測るには不十分なフィルムコンデンサもあるかもしれません。
オーディオ用フィルムコンデンサの9社比較
聴き比べをしたのは、9社メーカーのオーディオ用フィルムコンデンサ。
- BENNIC
- AUDYN
- MONACOR
- PARC Audio
- jantzen audio
- MUNDORF
- claritycap
- SOLEN
- dayton
BENNIC
製造は台湾のメーカー。オーディオメーカーにOEM提供しており、エントリーモデルやミドルクラスのスピーカーに多く搭載されるフィルムコンデンサ。
BENNICの特徴
- クセが少なく使い勝手がいい音質
- 元の音にツヤがあり、解像度は高い
- どことなくこもった雰囲気もある
- 低音がよく出ており、バランス感が高い
はじめてフィルムコンデンサを使うには、BENNICがオススメ。低音もよく出て、既存の音をあまり崩さないが面白みは少ない音になりやすい。
エージング時間:2、3時間程度
AUDYN-CAP
製造はドイツのINTERTECHNIK.Electronic社。
AUDYN-CAPの特徴
- バランスの高さはピカイチ
- 低音までよく出ている
- 音に透明感があり滑らかな音質
- 高音もキンつかず聴き馴染みが良い
- エージングに時間がかかる
聴き始めから15時間以上かけなければ、本来の音は味わえない。透き通った水面のように素直でしっとりとした音を鳴らしてくれる。オーディオ用に色付けられた音を知りたい方にオススメです。
エージング時間:15時間以上
オーディンキャップ MKT-1.00μF/250V フィルムコンデンサー AUDYN CAP MKT-1.00MF/250 5% AXIAL 価格:385円 |
MONACOR
製造はドイツのメーカー。
MONACORの特徴
- バランスよく高音域、低音域までよく鳴らせれる
- ドラムスのアタック感やベースの鳴りがよくパワフルな音質
- パワフルだがうるさくはない
- 高音域のクセも無ければ伸びもないがとても聴きやすい
- 解像度も多少ある
バランスがいいのでかなり使い勝手がいいかもしれない。
エージング時間:不明
claritycap
製造はイギリスのメーカー。
claritycapの特徴
- 凛として元気よく鳴るのが最大の特徴
- クリアではっきりとした音質
- 高音域の解像度が高くとてもくっきりとしている
- 色付けは少なくどこか平たんな優等生の印象
- スネアの音がかなりいい感じ
エージング時間:不明
MUNDORF
- 製造はドイツのメーカー。Bowers & Wilkins(B&W)やDALIにも使われている。
- 雲の中にいるような全体的にもやのかかった音質
- 疾走感のある曲では風が吹くように駆け抜けてくれる
- 特別得意な楽器もないが、解像度も少し上がる
- ゆらぎを与える音色づけが雰囲気ありとてもよい
エージング時間:不明
jantzen audio
製造はデンマークのメーカー。
- ナチュラルな音質
- 音の変化が少なくユニットの性能で鳴りを変えてくれそう
- 高域の伸びはなく中音域が目立ち、低音域がボンつく
- 解像度高くなくふくらみがあり特別得意な楽器もない
ユニットの性能をよく反映してくれそうであり、ユニットにこだわった際に使ってみたい。
エージング時間:不明
PARC Audio
製造は日本のメーカー。
- 解像度が特別高くなったわけでもないが作られた音質に感じる
- 低音域の損失が激しいため、エージングに時間がかかる可能性あり
- 無垢材のエンクロージャーで一度試してみたい
エージング時間:不明
dayton audio
製造は、アメリカのメーカー。
- 明るくツヤのある音質
- 低音域の損失があるので低音重視の方には向かない
- 繊細さでは他のコンデンサに比べて劣るが聴きやすい音質
- 華やかなスピーカーになる
- わかりやすく変化しやすくAmazonや楽天でも簡単に手に入る
- オーディオ用フィルムコンデンサの入門機といったところ
エージング時間:2時間以上
SOLEN
製造は、フランスのメーカー。DALIにも使われていたコンデンサメーカー。
※DALI MENUET SEはMundorf製を使用との情報あり
解像度の高さではトップクラス
奥行きのある音、楽器の音を楽しみたい方はSOLEN で間違いない
弦の音が特に美しく感じられる
安定して鳴らすより表現力の高さで優秀なコンデンサ。
SOLEN「FastCap」と「SilverCap」の違い
値段が高いのはSilverCapですが、音質にはどのような違いがあるのかまとめます。
FastCap
- とにかく解像度が高く奥行きのある音質。
- 立体的な音でゾワっと鳥肌が立つほどの表現力を持つ
- ただし、低音はめちゃくちゃ弱い
- 安価なフィルムコンデンサの中ではトップクラスの表現力だと言い切れる(低音は弱い)。
エージング時間:2時間以上
低音域の弱ささえ気にならなければ、安価なフィルムコンデンサでは最高クラス。
SilverCap
- 高価なフィルムコンデンサだが試す価値あり
- 解像度はFastCapにこそ劣るものの、SilverCapは低音域までよく再生できる
- 弦の爪弾く音などは鳥肌ものの解像度はある
- バランス良く解像度の高い音質
映画を再生するには最高品質のフィルムコンデンサだと思う。
エージング時間:2時間以上
番外 SHIZUKI
オーディオ用フィルムコンデンサのメーカーではないので基本的にスピーカーにオススメはしない。
中音域にかすれが出ます。
特徴は鳴りがクリアな印象で聴きやすいが解像度高い訳でもなく、オーディオ用との表現力に差が出る音質。
フィルムコンデンサの雰囲気を感じられるので、手持ちにあるなら試しても損はない。
エージング時間:不明
選定外 オイルコンデンサ
名前の通りオイリーな音質になるので不思議。エレキギターによく使われているコンデンサであり、ロック好きならオイルコンデンサを使った方が良いはず。
オイルコンデンサの特徴
- はるかに音が滑らかになる(ぬるっとした感じ)
- エレキギターやベースの再現度が高い
- 使い始めは音が小さいので24時間以上のエージングが必要
- 容量が小さいのでカップリングで使う
- 経年劣化が少ない
オイルコンデンサでも高音域があでやかであったり種類によって鳴り方が千差万別なので聴き比べをしたい。軍事用のオイルコンデンサなどを使うこともあるらしい。
今回は国内メーカーであるヒグチ電子のビタミンQオイルコンデンサ。
エージング時間:24時間以上
選定外 マイカコンデンサ
雲母という自然の鉱石を使ったコンデンサ。「マイラコンデンサ」と名前を間違えないように注意。
音が滑らかになりバランスを取りやすいのだが、ツイーターに使うとシャリシャリと鳴ってしまい使いづらい。ウーハー部分に使うと良さそう。
エージング時間:不明
フィルムコンデンサを買えるオススメのネットショップ
横浜ベイサイドネット
コイズミ無線
仙谷電商
慣れたらネットワーク回路も変えてみよう
フィルムコンデンサの変更も音質の劇的な変化を与えますが、さらに音質を変えるにはネットワーク回路の変更といった手段もあります。ただし、ネットワーク回路の変更はフィルムコンデンサの変更よりも難しいものです。ネットワーク回路は自作できるのか?についてはこちらの記事でまとめています。
無料で音質を変えるならイコライザ設定
「フィルムコンデンサほどの変化は期待できない」とねいろ屋さんでは避けていたイコライザ設定ですが、最近はその魅力にどっぷりとハマっています。
柔らかでふくよかな低音表現ができるイコライザ設定も作っており、ねいろ屋さんが作ったイコライザやアーティストが作成したイコライザについて紹介しています。
新たな音楽の楽しみ方を知るには、こちらのイコライザ設定の記事もぜひご覧ください。
ほかにもフィルムコンデンサを比較しているサイト
Googleのアルゴリズムで検索順位はよく変わるので備忘録として残しておきます。
Hayato Folio|オーディオ用コンデンサの音質を比較|機材自作の備忘録
まとめ
おもしろいのはオーディオ用フィルムコンデンサの音の色付けにメーカーの国の色が特徴として聴きとれることにある。
迷った時は好きな国のイメージで購入するのもおもしろいですよ。
いつかは10万円ぐらいかけて、ハイグレードの電子パーツも聴き比べたいものです。
オーディオの内部パーツをいじるのは終わりが見えずにとてもおもしろい世界です。
コメント
Baysidenet 横浜ベイサイドネット
社長の女性はとても感じも良いし丁寧。
男の店員は最悪。
しかも人のアイデアを完全に盗み、パクリました。
僕の設計したスピーカーを元図いて寸法まで聞きあとでしっかりと製造のアイデアは僕だと言うと言う事で作りと寸法、中の吸音材もおしえた。
しまいには何も無、お礼も無い。
一度会社名と苦情をGoogleで検索してください僕でない多数の人間が苦情を多数述べております。しかも急に夜逃げの様に新潟に引っ越し。
社長は素晴らしい人間、授業員はゴミ以下のカス男です。
を気を付けてください。
売る時は何でも言う人間です。
BAYSIDENETは良い会社ですが男性の社員は本当に最低。
評価ありがとうございます!onkyoのD-V77の電解コンデンサーからの置き換えで探しており評価の良かったAUDYN-CAPの廉価シリーズ MKTを購入し取り付けたところ大正解でした!ギターやピアノの共鳴など解像度も桁違いに高くなり満足しています。