オーディオ入門講座6:フルレンジとマルチウェイの違い

スピーカー オーディオ入門講座
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フルレンジやマルチウェイなどのスピーカーの種類について聞いたことがある方も多いと思います。しかし、オーディオ初心者の方にとってはこういった専門用語はよく分からないもの。この記事では、フルレンジとマルチウェイの違い、それぞれのメリットとデメリットについて分かりやすく解説しています。

フルレンジとマルチウェイの違い

フルレンジとマルチウェイでは、スピーカーユニットの個数が違います。ツイーターのない単体のユニットでスピーカーを構成するものをフルレンジユニットと呼び、1つのスピーカーでフルレンジ (すべての音域)を構成します。逆に、ツイーターを含む複数のユニットで構成するスピーカーはすべてマルチウェイと呼ばれ、ユニットの数に応じて2wayや3wayなど名称が変わります。

フルレンジとは

フルレンジスピーカーとは、ひとつのスピーカーで全ての帯域の音(フルレンジ )を鳴らすスピーカーです。
イギリスのKEFやウッドスピーカーのVictorなどが有名で、混じり気のないスピーカーユニット本来の音を体験できます。ユニットが持つ本来の音を極めることにこだわりがあり、エンクロージャーを自作する愛好家によっても多く利用される構成です。

すべての音をひとつのユニットで表現するには、ユニット自体の性能を高める、エンクロージャー によってユニットの性能を引き出すなど、音の波紋を物理的に計算し尽くさなければなりません。他のユニットの干渉を心配することなく、ユニット本来の性能を引き出すピュアな音表現を得意としています。
例えるなら、ミニ四駆の改造や肉抜きを加えてトルクやコーナリングを調整するように、機械が持つ本来のポテンシャルをいかに最上級に仕上げるのかを極めるのがフルレンジの魅力だとも言えます。
スピーカーユニットが単体のスピーカーはすべてフルレンジの名称で統一できます。 

マルチウェイとは

2wayや3wayなど複数の種類のユニットを使ってひとつのスピーカーを構築するのがマルチウェイです。
ツイーターやウーハーなどスピーカーのサイズによって得意な周波数は異なります。
振幅の狭くなる高い周波数は小さなユニットが有利で、振幅の広くなる低い周波数は大きなユニットが有利になるからです。

それぞれの得意な周波数に分割して(安い機種では音域を分割せずに音を重ねてしまう場合もあります)、それぞれのおいしい帯域を組み合わて音としての美しさを追求するのがマルチウェイスピーカーです。
例えるなら、高速が得意なガソリン車と低速が得意な電気自動車を組み合わせたハイブリッド車のような構成がマルチウェイの魅力とも言えます。
帯域の異なる2種類以上のスピーカーを搭載しているのがマルチウェイです。
なお、帯域が同じスピーカーを2つ搭載している場合はツインスピーカーと呼ばれており、一般的にはフルレンジ スピーカーに分類されます。
ただし、ツインスピーカーとは別にツイーター が付いている場合は、マルチウェイに分類されます。

ツイーター

ツイーターとは、シンバルやピアノの高音域など、振幅の狭くなる高い周波数の音を専門的に鳴らす小型のスピーカーです。
その名前の由来は小鳥のさえずりからだと言われています。

1kHzや3kHzなど担当する音域はスピーカーの構成によって違いますが、美しい高音域を出すにはツイーターが欠かせません。
逆にツイーターには、低音域を任せると前後に揺さぶられる激しい振動に破壊される危険性があります。
高音域にしか使えずに美しい高音を専門的に奏でるのがツイーター の特徴です。

ウーハー

ウーハーは、バスドラムやホルンなど低音域を担当するスピーカーです。その名前の由来が狼やライオンの唸り声からだと言われています。
低音は16〜256 Hzと帯域が広いため、60 Hz程度のレンジでもウーハーに分類されます。
ドンッと前後に大きく振幅できるのが特徴で、低い音からシンバルの高い音まで出すことはできます。
ツイーター に比べると高音域の繊細さは劣るため高音域はカットして使うのが本来の使い方ですが、安価なスピーカーではツイーター とウーハーの両方で高い周波数の音を重ねるスピーカーは少なくありません。
主に低音域の再生で使われるのがウーハーです。

スコーカー

人の声やオーケストラのチューニング音である440 Hzを担当するのがスコーカーです。その名前の由来はネズミやリスの鳴き声からだと言われています。
ツイーター とウーハーで構成する2Wayに加えて、500〜5kHzの中音域の音を担当するのが特徴です。
2Wayだと前後に激しく揺さぶられる低音を担当するウーハーに人のうた声も重ねてしまいますが、スコーカーが人の声やヴィオリンの美味しい音を専門的に出力することにより、ブレの少ない音表現を期待できます。
こう聞くと、3wayが優れているようにも聴こえますが、必ずしも3Wayが2Wayの音質を上回るというわけではありません。
3wayの複雑な回路によって逆に、音のバランスが取りづらくなる問題もあります。
あくまで理想論のひとつに3wayという選択肢もある程度に認識しておきましょう。

フルレンジのメリットとデメリット

フルレンジ のメリットは、スピーカーユニット本来の音を楽しめることにあります。例えば、ウッドコーン スピーカーのようにスピーカーユニットの性能で勝負する製品はフルレンジ で構築することがあります。
他にもバックロードホーン型やスーパースワン型などエンクロージャー の作りによってスピーカーユニットの性能を引き出したい時にも、フルレンジ ユニットを使います。

構成がシンプル

構成がシンプルであるため、電子パーツによる干渉を受ける必要はありません。
例えば2wayスピーカーであれば、最低でもコンデンサ は必ず使わなければなりません。
コンデンサ がなければローカットが出来ずにツイーター が破壊されるからです。
コンデンサの性能がスピーカーにも影響を与えるため、2wayスピーカーではスピーカーユニット本来の音は再現出来なくなります。
電子パーツに影響を受けずにスピーカーユニット本来の音を楽しめるシンプルな構成がフルレンジ スピーカーのメリットです。
一方で、ツイーター の高音域やウーハーの低音域に比べるとその帯域は狭くなるデメリットもあります。
大きなスピーカーは低音域に強く、小さなスピーカーは高音域に強い性能は変えられようがありません。
2wayスピーカーに比べて帯域が狭くなるのはフルレンジ ユニットのデメリットと言えます。

定位が良い

フルレンジ スピーカーと違い、2wayスピーカーでは、必ずツイーター とウーハーの音を交わなければなりません。
この音の干渉はとても繊細なもので正相、逆相、アッテネーターの調整など多岐に渡ります。

複雑な音の調整に労力をかけずにスピーカーユニット本来の鳴らす定位の良さがフルレンジ ユニットのメリットです。

しかし、この性能はそのままフルレンジ スピーカーのデメリットにも当てはまります。
フルレンジ スピーカーのサイズによって高音域か低音域のどちらかに偏りが出るからです。
36cmクラスの大きなスピーカーユニットを使うと高音域にも影響が出ますので、8cmや16cm程度の小さなスピーカーユニットでフルレンジ のスピーカー作りあげるのが一般的です。

マルチウェイのメリットとデメリット

マルチウェイでは、ツイーターやウーハーなどの複数のユニットでスピーカーを作り上げます。
そのため、それぞれのユニットが得意とする美味しい帯域を任せることができます。
電子パーツを必ず使わなければならいのが特徴で、フルレンジスピーカーのように電子パーツの影響を受けずに音を作り上げることはできません。
帯域を分割して音の表現を追求できるのがマルチウェイの特徴です。

得意な帯域に音を分離できる

主張 マルチウェイのメリットは、それぞれの得意なユニットに音を割り振れることです。
具体例 高音域はツイーターに任せてウーハーは低音に専念するといったことが実現できるので、ウーハーによる高音域のかすれといった音質の低下を防ぐことができます。

しかし、この帯域を分割するには、電子パーツによって、それぞれの周波数をカットしなければなりません。
コンデンサ によるローカットやコイルによるハイカットが理想的なスピーカーの仕上げ方です。
この電子パーツによる影響を必ず受けるのがマルチウェイのデメリットです。

この電子パーツ1つに1万円以上のコストを掛けるハイランクなスピーカーも珍しくはありません。

ワイドでフラットな特性に仕上げられる

主張 電子パーツを含まずにユニット本来の性能を活かせるのがフルレンジの特徴でしたが、マルチウェイでは電子パーツによる恩恵を強く受けることになります。
逆に言えば電子パーツによる音の補正を付けやすくなり、ユニットの特性が強く出てしまう音を抑えることもできるようになります(この手法はフルレンジ でも可能です)。
ウーハーとツイーターの帯域を調整することで、シャープな音や低音の効いたスピーカーなどにも色付けすることができます。
フラットな音やウーハーの効いた音など自由に調整できるのがマルチウェイのメリットです。

フルレンジはユニット本来の音に近くマルチウェイは理想的な音に近い

紹介したようにフルレンジスピーカーはミニ四駆を改造するようなマシン性能をチューニングしながら楽しむイメージが強いかと思います。逆にマルチウェイスピーカーはそれぞれの得意分野に音を分割して任せるガソリン車とEV車を組み合わせたハイブリッドのようなイメージです。どちらも追求すればする程その奥深さを知ることができます。追求するベクトルが違いますので、どちらのスピーカーが優れているかは決められませんが、人の耳で聞くのに適したスピーカーはマルチウェイスピーカーだと個人的には思っております。

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