オーディオ入門講座5:エンクロージャーの形

エンクロージャー オーディオ入門講座
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バスレフ型という言葉を聞いたことがあるけどいったいどうゆう意味だろうと考えたことがある方もいるのではないでしょうか。スピーカーのエンクロージャーとは低音強化を目的に使われることがほとんです。バスレフ型や密閉型などのさまざまなエンクロージャーの形によって何が違うのか説明します。

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エンクロージャーとは

まずはエンクロージャーの概要について確かめましょう。

エンクロージャーの意味

エンクロージャーとは、囲いや筐体(機械を入れる箱)を意味する英語です。IT用語をあらわすこともありますが、日本国内ではスピーカーに使われる箱をあらわす場合がほとんです。

なぜエンクロージャーは必要なのか?

スピーカーを分解したことがある方なら分かるのですが、スピーカーユニットをエンクロージャーから外すと音はおそろしく小さな音へと変わります。
これは、スピーカーが音を出すのは前だけでなく背面にも反発する音を出しているのが原因だと思われます。
ノイズキャンセリングの仕組みのように前後で音を打ち消しあいながら音を再生するのです。
そこで、はじめて板を1枚はさんだだけのエンクロージャーが生まれて、現在では主流となりつつあるバスレフ型まで進化しました。

エンクロージャーの形による違い

ここで説明するのはブックシェルフやトールボーイといったスピーカーのサイズによって変わる名称の話ではありません。
低音強化を目的としてエンクロージャーの形によって、聴き心地はどのように変化するのかを説明します。
市販のスピーカーでは、次の4つに分類されます。

* 平面バッフル型
* 後面開放型
* 密閉型
* バスレフ型

スピーカーが誕生して以来、発明された順番に並べています。
それぞれのエンクロージャーの特徴を見てみましょう。

平面バッフル型

世界ではじめて誕生したエンクロージャーは平面バッフル型です。
前後で打ち消し合うスピーカーユニットの音を板1枚で分離してスピーカー本来の音が楽しめるようになりました。
平面バッフル型には低音強化の効果はなく、音を分離するだけの簡易的なエンクロージャーです。
そのため、ズンズンと響く低音強化の音ではなく、開放的な音のやわらかさを感じることができます。
市販の機種はほとんどなく、オリジナルスピーカーやコンデンサスピーカーを使ってひっそりと販売しているメーカーがあります。

後面開放型

板1枚の平面バッフル型にさらに改良して作られたのが、後面開放型(オープンバック)スピーカーです。
上下左右に板を付け加えることで箱型に改良されました。
後面開放型の名のとおり、背面を板で閉じずに中身が見えるようになっているのが特徴です。
上下左右に板がつけられたことにより、後面から出された逆相の音が囲まれるようになり、前面へと伝わりにくくなりました。低音強化の効果はほとんどありませんが、平面パッフル型に比べてユニットの素直な音を表現できるようになっています。

密閉型

背面のひらいていた後面開放型に蓋をして完全に閉じてしまったのが密閉型のスピーカーです。スピーカーの背面を閉じてしまうのですから、音は小さくなるのではないかと予想されるのですが、意外と低音が出ることに驚くかと思います。
これは、スピーカー後方に発した音が空気の振動によってバネのように低音を押し出す効果を生むことになりました。
現在では主流になっているエンクロージャーのひとつです。

バスレフ型

密閉型からさらに、低音を排出するポートを付け加えたのがバスレフ型のスピーカーです。
一部の説では、スピーカー背面に排出した逆相の音が背面の板に反射して正相となることで低音が増すのような説明もあるかと思うのですが、おそらくこの説明は間違いだと思われます。
原理はヘルムホルツ共鳴によって低音が増加されるとのことですが、僕もよくは分かっていません。減る
現在では低音強化ではバスレフ型が一般的になっています。
バスレフの位置により、フロントバスレフとリアバスレフに分けられます。

フロントバスレフ

バスレフポートの穴がスピーカー前面にあるのがフロントバスレフです。
バスレフが前面にあることにより、低音が前面に押し出されやすいメリットがあるものの、ポートから漏れ出した中高音域がノイズとなりやすい傾向があります。次に紹介するリアバスレフに比べると音に濁りが出るものの低音を強く感じられるのがフロントバスレフです。

リアバスレフ

バスレフポートの穴がスピーカー後方の背面についているのがリアバスレフです。
バスレフが背面にあることで、低音を壁の反射に頼らなければならないものの、エンクロージャー内部でかき回された中高音域が届きにくいのが特徴です。フロントバスレフに比べて低音が弱くなるものの鮮度の高い音を聴きやすくなるのが特徴です。
なお、リアバスレフを壁に近づけすぎると低音が壁を強く打ちつけるため、こもった音になりやすいので注意しましょう。

ツインバスレフ

バスレフのポート穴がふたつあるのがツインバスレフです。
低音が強化されるとのことですが、こちらではその理屈はよく分かっておりません。
前面と後面の前後にバスレフを持つ機種であれば、空気のバネが前後に抜けやすく低音は少し落ちるものの抜け感のある爽やかな音になる傾向があります。

ダブルバスレフ

ツインバスレフに似ていますが、別のものです。ダブルバスレフはエンクロージャー内部にもバスレフポートがあるのが特徴です。つまり、外から見えるバスレフポートと内部のバスレフポートの2回ポートを通らなければならないためリアルな低音が表現されることと思います。こちらの機種については僕が使ったことがないので深く言及できません。

変わり種エンクロージャー

エンクロージャーは自作スピーカー愛好家にとっても日々開発されているものであるため、市販の品にはない変わり種の機種が数多くあります。

バックロードホーン

長岡鉄男というオーディオの第一人者によって日本国内でも有名になったスピーカーです。僕は音を聞いたことがないのですが、低音の強化されているスピーカーだと聞いております。

共鳴管方式

共鳴管方式は、エンクロージャー内で反響する音の通り道を長くする方式です。長い通路を抜けながら、何度も拡散を繰り返した低音は柔らかくぼわっとした音になります。共鳴管の音質は音工房Zさんのブログでも確認できるので、気になる方は確かめてみてください。

共鳴管スピーカーの試作と実験
共鳴管スピーカー 1   -- 共鳴管スピーカーとは  はじめに  弊社ではメイン商品となるハイエンド系の商品やバックロードの研究は商品開発の中でさんざんやってきていますが、それ以外の変わり種というか

エンクロージャーの形で音は変わる

これだけ多くのエンクロージャーが開発されてオーディオの繊細な音の表現をそれぞれに特徴を持っています。どのエンクロージャーが正解というわけではないので、実際に試聴した経験により好みも変わってくるかと思います。おもしろい形のエンクロージャーも世にはあふれているので色々と試してみましょう。

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