オーディオ入門講座8:スピーカーのネットワークとは?

回路図 オーディオ入門講座
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オーディオ講座も第8回となり、ようやく10万円クラスの音を作り出す秘密について語ることができます。

今回紹介するスピーカーのネットワークについて理解を深めることができたらオーディオの奥深さを知る第一歩となるでしょう。

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スピーカーのネットワークとは

スピーカーのネットワークとは、スピーカー内部に組み込まれている「コイル」「コンデンサー」「抵抗器」などの電子パーツの組み合わせです。

それぞれの役割については後述しますが、まずはスピーカーのネットワークがあることによる効果を確かめましょう。

スピーカーの音を決めるための心臓部

スピーカーは様々なメーカーによって、それぞれに異なる音を奏でることができます。

これはスピーカーユニットに使う振動板やエンクロージャーの素材などの要素も関係ありますが、最低限の品質を確保できていればスピーカーのネットワークによって各社の音色が決められています。

例えば、DENONではSC-CX101というスピーカーをヨーロッパのサウンド・デザイナーと共同開発しました。

このスピーカーは木材に厚みのある重厚なエンクロージャーこそ使っていますが、振動板はほとんどミニコンポレベルの普通のユニットと大差はありません。

しかし、その音は落ち着きがありながら滑らかでよくチューニングされたヨーロピアンサウンドを楽しむことができます。

ネットワークによってスピーカーの性能を高めた銘機として、たまに僕も音を楽しんでいます。

カタログではクロスオーバー周波数

残念ながらスピーカーネットワークの情報はほとんど公開されることはありません。

昔は回路図も公開されていたようなのですが、今ではカタログで参照できるのはクロスオーバー周波数や電子パーツのメーカー名だけであったりします。

クロスオーバー周波数とは、高音を担当するツイーターと低音を担当するウーハーの音域がどのくらいの周波数で混じりあっているかを表す数値です。

例えば、ONKYOのD-NFR9TXでは6kHz(約2万円)、YAMAHAのNS-B330では2.8kHz(約4万円)と、クロスオーバー周波数に違いが見られます。

ヤマハ | NS-BP200 - スピーカーシステム - 仕様
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ヤマハ | NS-B330 - スピーカーシステム - 仕様
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これは、どういうことかと言うと、D-NFR9TXには高音域をカットするコイルを搭載していないことが分かります。

ウーハー部分が高音域まで再生するため、ツイーターと音が混じる周波数が高くなるのです。

逆に、NS-B330はウーハーの高音域をカットするために、スピーカーのネットワークにコイルが含まれていることが分かります。

フルレンジスピーカー以外ではネットワークが必要になる

スピーカーネットワークは、ローカットまたはハイカットにも用いられるため、ツイーターを搭載したマルチウェイスピーカーでは必ずネットワークがいります。

ローカットしなければツイーターが低音域によって破壊されてしまうからです。

D-NFR9TXのようにクロスオーバー周波数の高いスピーカーは、ハイカットは搭載していませんが、ローカットの電子パーツは搭載しています。

逆に、フルレンジスピーカーではツイーターを持たないため、スピーカーネットワークは搭載しなくても構いません。
フルレンジスピーカーにも用いることができる

フルレンジスピーカーにネットワークを搭載してはいけないということはありません。

長岡鉄男氏が推奨したPST回路のように、フルレンジスピーカーでもネットワークを用いることで低音を強化する方法もあります。

PST回路では高音域を減衰させることによって、相対的に低音を強化する効果を期待できます。

スピーカーネットワークに用いる電子パーツ

スピーカーネットワークは、「コイル」「コンデンサー」「抵抗器」を用いるRLC回路です。

それぞれの電子パーツの役割について解説します。

ハイカットフィルター(コイル)

ハイカットフィルター、またはローパスフィルターとは、高周波をカットして低周波を通す性質のあるコイルを使います。

主にウーハーの高音域のカットを担当します。

また、並列でコイルを繋ぐことによって低音域をグランドへ誘導するローカットにも利用することができます。

ローカットフィルター(コンデンサー)

ローカットフィルター、またはハイパスフィルターとは、低周波をカットして高周波を通す性質のあるコイルを使います。

主にツイーターの低音域のカットを担当します。

また、並列でコンデンサーを繋ぐことによって高音域をグランドへ誘導するハイカットにも利用できますが、コイルのハイカットと併用しなければアンプが破壊する恐れがあるので注意しましょう。

抵抗器(アッテネーター)

抵抗器は音の減衰に利用する電子パーツです。

例えば、ツイーターの音が出過ぎていてボリュームを調整したい場合は、抵抗器により電気抵抗を高める方法を用います。

意外な抵抗器の1つとしてBOSEのスピーカーに使われている豆電球をアッテネーターに利用しているスピーカーもあります。

スピーカーはネットワークによって音の繊細さを調整している

スピーカーの音を決めるのはコイルとコンデンサー、抵抗器によってメーカーそれぞれの独自の音質に調整しています。

コンデンサー1つだけのシンプルな構成から、十数個の電子パーツを用いてインピーダンス補正を用いたものもあります。

市販のスピーカーのコンデンサーを入れ替えることで音の変化を楽しむこともできるため、スピーカーネットワークを理解することでオーディオの楽しみ方も広がることでしょう。

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